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* category: general episode

Wir werden allen autobots. 

2009.10.01
Thu
20:03

ザ・フォールンとの戦いの後、辛うじて無事だったスパークをエドワーズ空軍基地に保管されていた
SR-71ブラックバードの機体を利用すると共に、ラチェットとジョルトの涙ぐましい懸命な努力により
再びこの世界に甦ったジェットファイア。

『ワシは尚も生きて此処におる・・・あの時スパークを犠牲にしたことで、全て終わったものかと思ったんじゃが・・・。
運命とは皮肉なものよのう・・・。何故故にワシは未だ生きていなければならない・・・。』

独りNEST軍基地の滑走路脇に置かれた、コンテナの上に腰掛けているその老いぼれたトランスフォーマーは
自分の正面に突き立てたランディングギアのステッキに、右手を上にして両手を乗せ、青く広大な空を仰ぎ見ながら
ただぼんやりとたそがれていた。

そこに若く無邪気な、子供のような面影を未だ残している若いTFが、楽しそうに駆けてきた。
小走りで駆けてきたスピードを徐々に弱め、ジェットファイアに歩み寄ってくる。

『ねえジェットファイア、探索者だった頃は何をしていたの?』
その後ろから、若いTFの2倍程の背丈がありそうな大きな影が、ゆっくりと近づいてくる。
『バンブルビー・・・。』
相手に対しての気遣いより好奇心が勝っている所為か、彼の名を呼んだ意図さえ汲み取ろうとはしなかった。
『教えてよ、ねえ。おいらジェットファイアの事が知りたいんだ。そうすればおいら達もっと仲良くなれると思うんだ。』
そこにもう1人のTFが静かに近づいてくる。
『―私もその話には興味があるな。』
『サイドスワイプ、お前まで・・・。うむ・・・済まない、ジェットファイア。良ければ聞かせてくれないだろうか。』

『よかろう―』





サイバトロン星の機械生命体がオートボットとディセプティコンに2分されてからというものの、
その戦火は惑星中に拡がり疲弊と荒廃は進む一方であった。

そんな頃、ディセプティコンの探索者、SEEKERであったジェットファイア。
恒星を破壊してエネルゴンキューブを採取するため、太古の昔にどこかの惑星に建造されたグレートマシンの
起動の鍵となるマトリクスを捜すのが彼の役目だ。

彼はディセプティコンには珍しく、正々堂々とした戦いを好む戦士であった。
例え相手がどんな戦士であれ、怯むことなく真正面から単純で豪快な戦いを挑む。
だが多くの、殆どのディセプティコンの戦士はずる賢く、卑怯で、野蛮な戦いをするものばかりだった。
何故か彼らによって倒れていくオートボット達を哀れに思うぐらいであった。

ある時、若き日の彼は疑問に感じた。

『なぜ我々は争い合う必要がある?もともと俺達は同じ一つの種族であったはずだ。
フォールンのやり方は何かがおかしい・・・宇宙を支配するどころか、まるで滅ぼす事が
真の目的であるかのようだ・・・。』



何千もの、何万という星々を巡ってきた彼は、フォールンの命令によりマトリクスを捜し求め、
地球という惑星に辿り着いた。
大気圏突入時に、彗星に偽装する為プロトフォームの躯体に装着しているパーツが外れ、
高温のために燃焼し消えていく。
『息子よ、この惑星には知的生命体がおるぞ。楽しくなりそうじゃな。』
『ああ・・・そうだな・・・。』

広大な地表に墜落し、突入時の熱から身を護っていた外装パーツを展開し、その巨大な体躯を現すジェットファイア。
『お前は図体ばっかりデカくなりおって、スキャン出来そうな対象がなさそうじゃぞ。』
『―親父が小さ過ぎるんだ。』
『フン・・・とにかく、この星の生命体は何らかの移動手段を有しているようじゃ。ワシはアレをスキャンする。
お前は勝手にしておれ。』
『・・・分かった。』

そうジェットファイアに言い残し、蒸気機関で駆動力を得る、4輪の乗り物にトランスフォームする。
『仕方ない、俺がスキャン出来るサイズの何かが出来るまで、身を隠しながらこの星を観察する事にしよう・・・。』


ベイスン・アンド・レンジの深い谷で人目に触れないよう身を隠し、ずっとその時を待った。
元々寿命が圧倒的に長い彼らにとってそれまでの時間はあっという間であったが、この惑星の知的生命体、
ニンゲンにとってはかなりの年月であった。何度も太陽は昇り、月が沈むのを見、幾年もの月日が過ぎていった―


『ふん、やっと俺におあつらえ向きの航空機が出来たか。』
遥か上空、高度25000メートルを音速で飛行している、黒く巨大な偵察機をスキャンする。

プロトフォーム体からその航空機の外装を生成、身体に合わせ上手く構造を組み換える。
やがてその場に現れたのは、ロッキード社はスカンクワークスの開発した超音速・高高度偵察機、SR-71である。

再びロボットモードにトランスフォームし、2基のP&W社製エンジン―J-58をアフターバーナーで点火させ
そのまま高度を上げながら、ある程度上昇した後ビーグルモードになり、高度55000フィートまでそのまま加速する。

『そういえば、親父は何処に行ったんだ?この490,560メガサイクルほど見かけていないが・・・』


マトリクスの捜索を続けながらも西へ向かって飛んでいると、アメリカはフォートマイヤーズのとある博物館に
僅かながらスパークの反応を感じた。
ジェットファイアはゆっくりとエンジンの出力を弱めながら、慎重にその博物館前の道路に降り立った。


『ふん、やっと来たか、あの馬鹿者が。』
一台の古ぼけた自動車がプスプスと排気管から空気が漏れる音をさせながらゆっくりとジェットファイアに近づき
やれやれと言わんばかりに重い身体を引き起こし、細く華奢な躯体にトランスフォームした。

『随分と遅かったではないか、我が息子よ。何メガサイクル経っていると思っているんじゃ・・・。』
―あまり覇気の無い様子だ。
『・・・俺のスキャン出来るものが無かったんだ。』
『まあいい。ワシはこのままここに居座る事にする。お前は引き続きマトリクスを探すんじゃ、いいな。』
『居座るって・・・ニンゲンと一緒に生活をするのがそんなに気に入ったのか?』
『その通りじゃ。彼らと各地を走り回る事が楽しくて仕方なくての。それに、ワシはこの世界で最初の車輪に
なれた事を誇りに思っておる。自動車とはかくも素晴らしきニンゲンの移動手段じゃ。』
『星に残してきた母さんはどうするんだ・・・?』
『あいつは独りでも十分に生きていける。そういうやつじゃ、心配するでない。』
『そうか・・・』

普通ならお互いに抱き合い、別れを惜しむものだろうが、この親子に限ってはそんな間柄ではなかった。
ジェットファイアは彼を見つめながらゆっくりとそのまま振り返り、再び大空へと戻っていった。
そんなジェットファイアを1人のトランスフォーマーは視界から消えていくまで見守っていた。




ニンゲン達の争いは収まる事を知らず、益々過激化していく一方であった。
軍備の拡大、戦略核・ICBMの開発、果てには宇宙開発まで・・・各々が自らの力を誇示することだけに執着していた。

『この星でも醜い争いが起こっておるのか、ワシらと違い民族や信仰、人種も多様で使用言語もかなりの数が
あるようだが、所詮は同じ人間だ、きっと分かり合える方法はあるはずなんだが・・・。』
ジェットファイアはサイバトロン星と今までに渡り歩いてきた星々での戦闘を思い出し、ガックリと肩を落とし落胆した。

『じゃがニンゲン達はまだまだ幼い種族とみえる、学ぶための時間が必要じゃ。彼らのような生物を滅ぼそうなどと
本気でフォールンが考えているのなら、ワシはヤツを裏切る。いい加減にヤツのやり方には我慢ならん。
何がディセプティコンじゃ、こんなマークなぞ掻き消してくれる!』
元々長年の戦闘で傷だらけの―水平尾翼に描かれている―インシグニアを、フォールンへの怒りを込め
その鋭い爪で引っ掻き消そうとする。


『―ワシはこのままニンゲン達を見守りながら、この惑星にいるとしよう―

フォールンの手からマトリクスを護るために―』


青く月が燃え滾る深夜、おもむろに夜空を見上げるジェットファイア。
広大な空に瞬く幾千もの星たち。この中にサイバトロン星のある銀河はあるのだろうか―そんな事を考えていた。
金属の月輝く星サイバトロン。何故か堪らなく故郷が懐かしく思えた。


ビール基地の管制塔にハッキングを仕掛け、フライトコース・任務内容・離着陸の記録を改竄する。
偽装登録した兵士のIDを使い、着陸の許可を求め速やかに着陸していく。
タキシングしながらハンガー方面に向かい、牽引用のトラクターによってその内部に格納される。
機体番号や所属はデータ通りなのに、肝心のパイロットが居ない事に首を傾げるハンガーの整備士達。


気付けば、ジェットファイアはしばしの眠りについていた。
―まるで哺乳類が厳しい冬を乗り越えるためにつく深い眠りのように、長年の戦闘で蓄積された
疲労も伴い、彼を無意識の世界へと誘う―
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noir aile 

2009.08.29
Sat
01:46

小高い丘の上にある、青々とした芝生の拡がる―とある墓地。
周りには等間隔に、規則正しく聳え立つ木々。

空は澄み渡り、白い鳩が悠々と編隊を成し飛んでいく夕暮れ。

一つの墓標の前に、黒尽くめの人々が群がっている。
皆悲しげな表情を浮かべ、中にはうつむきがちな者もいる。
米大統領から政府・その他各国の軍関係者、NEST軍兵やその家族、トランスフォーマーと
その存在を知る限られた人々。

それと、激戦の末ザ・フォールンの復讐を見事返り討ちにし、この惑星を含め全宇宙を救った
オートボットの面々。

今回の戦闘によって傷つき、倒れた古き友の墓標には、1メートル四方のコンクリートの土台に
SR-71・ブラックバードの水平尾翼を模した、黒く大きな金属板が突き立てられている。
今にも消えてなくなりそうなくらいに擦れてしまったディセプティコンのマークの上には
赤々とオートボットのエンブレムが輝いている。

オートボットの中でも、一際大きな影の持ち主が一歩前に出、片膝をつくような形でしゃがむ。
総司令官オプティマス・プライムは、NEST兵の一人に集音性の高い指向性マイクを向けてもらい
かつての仲間に言葉を手向ける―ゆっくりと、堂々としていながらも落ち着いた調子で。


『恐縮ながら、私から彼へ、皆様を代表しこの言葉を捧げる。

彼は、偉大な戦士であった。ディセプティコンではない、オートボットとしてのだ。

元来、オートボットとディセプティコンに違いなどは無かった。

それを改めて教えてくれたのは、彼だった。

我らとディセプティコンの違いは、思想のただ一つ。それだけだ。


我々をマトリクスへと導いてくれたその叡智

不具合を抱えているにも関わらず、戦闘の救援として駆けつけてくれたその勇敢さ

自らのスパークを引換えにしてでもこの惑星、そして宇宙を護ろうとしたその犠牲心

―そして、彼の輝かしいばかりの栄光に


皆さん、彼の栄誉を称えましょう、それが彼にとって一番の賛辞となる筈だ。』


ややあって、オートボットを含めその場の人々がゆっくりと敬礼をする。その場の空気は悲しみで
満ち溢れていた。涙を流している者も何人かいる。レノックス少佐の妻は彼の胸に顔をうずめ、
レノックスは彼女と子供を優しく抱きしめている。
バンブルビーは目からウォッシャー液を滝のように漏らし、その露を拭っていた。



M16を手にした数人のNEST兵が整列、右手でストックを持ち肩に立てかけたライフルを
両手で持ち替え、そして空に向かって構、トリガーに指を掛ける。



弔いのための空砲が撃たれる。


悲しく、乾いた空に響く銃声―









―その墓碑には、こう刻まれている。

『Grory of Jetfire,Forever』
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Trinity quarrel 

2009.07.25
Sat
02:54

インド洋はディエゴガルシア島―巨大な敷地に建設されたNEST総本部基地。
オートボット達は、ディセプティコンの残党を始末する任務を終え
次の出撃に備えて、戦闘で傷ついた身体を癒す。

メンテナンスを終え、分厚いコンクリートで囲まれた地下のハンガーに戻った
アイアンハイド、ラチェット、サイドスワイプは一時的に機能をスリープ状態にする。
―聴覚デバイスと最低限の機能だけを作動させたまま。

しかし、レディー達はまだまだ話し足りない様子だ。通信回線を使って会話すればいいものを
わざわざ発音機能を使用している。


『全く、今日の中国とかいう国は最悪だったわ、埃りっぽいし、なんだかゴミゴミしてるし・・・。
あぁもう、なんてことなの。この自慢の5本スポーク軽合金製ホイールが汚れちゃってるじゃない。』
『騒々しくってよアーシー、貴女のホイールなんてどうでもいいの。それよりわたくしのこの美しいボディが
埃まみれでいる事の方がよっぽど酷いですわ。』
『あーらエイリアル、そういう台詞はそのだっさい4連マフラーをなんとかしてから言いなさい』

女性型のホログラムはオイルタンクを叩き、そのバイクの水冷Lツインデスモドロミックエンジンを
―さながらフォーミュラ・ワンのV型10気筒エンジンのエグゾーストノートのように―
けたたましく吹かしながら大声で言い返す。

『なんですって!?レーシングモデルなのに湿式クラッチなんて身につけている
貴女にだけは言われたくないですわ!』
『イタリア生まれのくせして、ニホン製のサスペンションを着ているあんたにだけは言われたくないわ!』
『エンジンが2気筒な割にはよく言ってくれますわね。わたくしは4気筒ですのよ、4・気・筒!
貴女みたいな貧乏くさい女に負けるなんてことはありえませんことよ!』
『さっき私のホイールを馬鹿にしてくれたわね。あんたの星型ホイールだって十分過ぎるぐらいダサいわよ!
そして大体何なのよ、そのカーボンの偽者みたいなフロントカウルのエンボス加工は!腹が立ってくるわ!』


『あの・・・そのくらいにしてNEST兵の方々にメンテナンスとクリーニングをしてもらいに行きませんか・・・?』
もう一台の青い日本製バイクは、2人の機嫌を損ねない様、慎重に言葉を選び、その重い口を開いた。

『だまらっしゃい!あんたのそのアイラインの方がよっぽど醜いわよ、出直してらっしゃい!』
2人の勢いと言葉に圧倒されてしまったクロミアは、何も言えずにしょんぼりしてしまった。



アイアンハイド『全くこの女共は・・・待機中ぐらい静かにしていられないのか・・・』
ラチェット『これはおそらく、女性特有の生理現象によるものであろう。』
サイドスワイプ『まぁまぁ、お二人さん。―とにかく、お喋りは大いにしてもらって結構。
だが、少しボリュームを落としてくれないかな。』


『分かりました・・・』『―はい』『了解です』
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A Megacycle Before・・・ 

2009.07.24
Fri
02:02

この数十年で、各国から単なる超人口密集地帯であると思われていた国家は、
爆発的に急速な発展を遂げた。
高層ビルやタワーが立ち並び、尚も成長を止めることなく都市を拡大・開発を続けている。
その影で、旧市街であろう重く歴史ある地域は、巨大な工場団地の敷地とされるために
ガン細胞に侵されるかの如く縮小・衰退していく。
そんな人間でさえ住もうとしない様な、小動物の生体反応しか確認出来ない地に、
『彼ら』はその身を潜めていた。


―2年前のラスベガス、オールスパーク奪取のためにオートボットの奴らと総力を尽くした激戦の後、
メガトロンはローレンシア海溝、凍てつく寒さと暗黒の闇が支配する
一万一千メートルの海底深く沈められてしまった。
オールスパークが器としていたエネルゴン・キューブは破壊され、俺達機械生命体の<歴史>
ともいうべき膨大な情報と共に、スパークの叡智も失われてしまった。
だが、いくら欠片とはいえ、オールスパークだ。メガトロンを生き返らせるだけの力はあるに違いない。
もし生きていたら、きっとあの時粉々になってしまったオールスパークの欠片を
探すように命令するはずだ。それは間違いないだろう。

こういう事態の時、指揮を執らなければならないはずのスタースクリームは
―だとしても進んで指示に従うつもりは無いが―何処かに行ってしまった、少なくとも今地球には居ない。
おそらく、あの凍りついた死の惑星に墜落した戦艦ネメシス、フォールンのところで奴なりに
何か対策を講じているのだろう。

"・・・まぁ、俺の知った事ではないがな。”

俺の来る前にいた、主力の奴らは殆どオートボット共にやられてしまったし、戦闘となると俺の装備では
あまりにも心もとない。一緒に地球に来たデモリッシャーがいるだけ心強いな。

しかし、安心は出来ない。いくら馬鹿では無く、引き際が分かっているとはいえ
奴は少し力に頼り過ぎるきらいがある。奴らに出くわした途端に交戦にならないといいのだが。

俺達が居るのは、ニンゲン達の<ワールドワイドウェブ>によって検索した結果、
<チュウゴク>という国らしい。
しかし、この―機械のエイリアン―プロトフォームの姿のままでは、目立ってしまい不味い事になる。
ニンゲンに見つかれば、奴らにも俺達の存在が知れてしまうだろう。
スパークの捜索を開始する前に、何か目立たない物をスキャンしなければ―
おそらく、<クルマ>というものがいいだろう。

3メートル超の巨体を廃墟の物陰に隠しながら、幹線道路を往来する車を物色しはじめる。
どの車両も同じような色、フォルムをしていて偽装をするには格好のスキャン対象だろう。
―だが、彼の持つ美学故に、それらのひとつをスキャンするには納得がいかなかった。

『・・・ったく、この国のクルマとやらは何故こうにも不恰好な物ばかりなんだ・・・どれもこれも
同じモノばかりじゃないか・・・』

ぶつくさと―しかしながら人間には聴き取れない周波数と速さで―愚痴をこぼしていると、彼の目の前を
轟音を鳴らしながら一台の欧州製スポーツカーが通り過ぎた。
滑らかでありながら、パワフルさを感じさせるボディを身に纏い
V8エンジンをミッドシップに搭載したドイツ製の4WDスポーツカー、アウディ・R8だ。

『フン・・・。なんだ、少しはマシなクルマもあるじゃねえか。』

冷めた目をしつつ、その車両に向かってレーザー光を照射し、外見からフレーム構造まで隅々を
スキャンする。彼なりに―そうは見えないだろうが―とても意気揚々としながら。

その車から得た、全てのデータを改めて確認する。彼ら機械生命体は、自身と同じぐらいの
質量の物体でないとトランスフォーム―擬態―は出来ないからだ。

『おぉ・・・これはこれは。なんともご機嫌な感じじゃねえか。気に入ったぜ。』

運よく質量も彼と同じくらいであったそのスポーツカーと同型の車に擬態し、エンジンを
けたたましく咆哮させ、カウンターを当てながら発進する。
そのまま混み合う道路の中に紛れ、怪しまれない程度に疾走する。 
その魅力的な外見のお陰か、多くの人々の視線を集め、いささか目立ってはいるが
偽装には成功しているようだ。

スパークの反応を探しながら、少し埃っぽい街中を走っていると、なにやらニンゲンの
密集している地帯に近づいてきた。どうやら<イチバ(Market)>というらしい。 
人々が店の間の狭い通路を行き交い、緑や赤色の有機体、または小型の哺乳類と
丸い金属や四角くて薄っぺらい何かを交換している。
ある者は交換した手前、その獲物をまっすぐ口に運び、食している。

『・・・しかし、ニンゲンとやらはなんてモノを摂取してるんだ・・・全く得体が知れないな。』

―とはいえ、彼はとても興味を惹かれていた。それらを横目に見ながら
とっさにインターネットで検索を掛ける。時間にして1ミリサイクルもかかっていない。

その物質の遺伝子構造、構成分子、名称、動植物であるかどうかも一瞬にして理解できた。
彼らが油分を多く使用して「リョウリ」というものに加工し、それらを食することも。

この国が世界の4大文明のひとつとして何千年もの時代を築き上げ、いくつもの
王朝や帝国として栄え、成長してきたことも。

大いに興味を惹かれつつも、スパークの捜索を続ける。
興味深い事ではあるが、今は任務を遂行しなければならない。
しかし、彼の思考回路の大部分が、抑えきれない好奇心によって占領されてしまっていた・・・。


夜も更け、人通りも少なくなり、民家や高層ビルの照明が消えていく。
この時間にまで活動していては流石に怪しまれる・・・そう思った彼は、ある古ぼけた工業団地の一角に
日が昇るまで身を隠すことにした。

そこに、やかましくキャタピラ音をさせながら、一台の赤く巨大な建設機械が近づいてくる。
突然ショベルを地面に軽く叩きつけ、その巨大な建設機械は、外装ごと身体ををいくつものパーツに分解し
複雑に形を組み換え、10メートル超のロボットにトランスフォームした。
サイドウェイズの車体を遥か上から見ている―お前もトランスフォームしろと言わんばかりに。

・・・まったく、騒々しい奴だな、こいつは。

デモリッシャーの様に大型では無いが、それでも3メートルは有に超すスレンダーな体躯を現す。
―瞬時にして。

『デモリッシャー、どうだ。成果の方は』
『ダメだな、ここら一帯には全く反応が無い。他の国を探した方がいいんじゃないのか?』
『うむ、確かにそうなんだが―』

本当はもう少しこの地にいてニンゲンを観察したかったが、途中で言葉を呑んでしまう。
ディセプティコンに属していながら、人間に興味が出て来たなどと言える筈が無い。

『―とにかく、今日はもう日が沈んでしまった。ニンゲン共に怪しまれないよう、身を隠すとしよう。』

いつもと様子の違う事を悟ったデモリッシャーは、一瞬彼を睨んだ―が、気が変わったのか
無言で元の建設機械の姿にトランスフォームする。
やれやれ・・・と言わんばかりに続いて、彼も車の姿に戻る。
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